PS2で発売され海外でも高い評価を得ている作品です。ジャンルは脱出アクションで、目的は生贄の少年が囚われの少女と一緒に城を脱出することのみ。 今までたくさんのゲームをプレイしてきましたが、『没入感』が最も高かった作品がこれです。多くを語らないストーリー、最低限のBGMと最大限に有効活用している環境音、少女の手を引くときに感じるコントローラーの振動。それら全てが一つの世界を感じさせ、まさにそこにいるような一体感を感じさせてくれる作品です。 ICOを語る上で欠かせないのが少女「ヨルダ」です。城の中の檻に囚われていた彼女は主人公には分からない言葉を話します。つまり会話というコミュニケーションが使えません。出来ることはR1ボタンで少女を呼ぶことと手を繋ぐことのみ。そんな少女の存在はこのゲームの「鍵」であり「枷」です。 ーー行く手を塞ぐ扉を開くには少女の不思議な力が必要 ーー少女が城を徘徊する「影」に連れ去られたらゲームオーバー この2つと、主人公がHPを持たない、つまり戦闘では死なないということを理解した瞬間にプレイヤーにとっての重要度が 主人公<ヨルダ となります。 連れ去られた少女を取り戻すために最短距離を進もうとして高所から飛び降り、主人公の悲鳴と同時に着地した経験は恐らく全員が持っていることでしょう。ゲームオーバーにならないための主人公の安全を考えないプレイングは、いつしか「この少女を守らなければ」という感情に置き換わりました。 手を繋いだ時の安心感、仕掛けを解くために手を離して一人で進まなければならない時の不安感、少女を守らなければという使命感、少女が影にさらわれた時の焦り、高所を進む恐怖、鳥の囀り、風の音、泳いで出来る水の波紋、眩しい日差しなどなど、時間が立っても鮮明に思い出せる、心に残る最高のゲームです。